私は宮崎アニメとサンライズアニメに育てられたようなものですが、ジブリ信者という程でも多分ありません。
未来少年コナンは息子にもこれは日本の宝だから!と観させましたが、ジブリものはまだ観ていない作品もあったりするからです。
そういう宮崎さんの趣味嗜好を長年ウオッチングしてきた人間(そうたいしたウォッチャーっじゃあないですが)にはど真ん中投げてきたなぁ、という印象です。
感触が伝わってくるような表現に関してはダントツ一位だったんじゃないかと思うのです。そういうのを極めたかったんじゃないかと思ってしまった。
私はファンタジーものがまあまあ好きなのですが、ファンタジーに限らず私がハマってしまうものは大体匂いや肌触りをかんじさせる表現が秀逸で、今作はそれが本当にすごかった。
暗闇を主人公がいざって進む時には土埃の中に黴びの匂いまで感じたような気がしてはっとしました。
暗闇に何かがいるよ?というぞわりとした感じ。
千と千尋の滑稽さというオブラートに包まれた薄気味悪さ。
ポニョのかわいい動作から急に魚っぽく変わった時の気持ち悪さ。
宮沢賢治の小説の得体の知れないものたちがとんでもなこと言ってるんですけど?な時の背筋の震え。
初めて子猫に舌で舐められた時のざらっとした感触。
そういうの全部一緒にして煮詰めて凝縮したような映画だったかなぁ、と思いました。
とりあえずファンタジー小説とか神話を沢山読んでいる人には、ファンタジー勝手縛り(と私は呼んでいる)が出てくる度に、そうそう!とテンション上がります。うん。
でもダメだったという方の理由もわからないでもないのです。
ジブリは王道国民アニメの期待が過剰になり過ぎてしまったのかなぁ、と思います。前から対象層の絞り込みは明確にあったと私は思っていたのですが。
例えば、私はポニョを観に行った時は息子がちょうどそうすけくんくらいだったので、お母さんを探すシーンだけでわぁわぁ泣けたのですが、子育て未経験層にはかわキモい子の出てくるなんだか不思議なお話、どまりじゃありませんでした?
また魔女の宅急便も最初観た時はかわいいね、で感想終了だったのですが、仕事が行き詰まった時にたまたま観たら、胸が苦しくなるくらい迫るものがありました。
普通に絵や音楽でどんな層も楽しめるといえばそうではあるけど、感動を引き出すまでいけるのは対象層、ジブリって元々私にはそういうイメージです。
今回は理屈よりは感覚重視の人に向いているっていうことじゃないですかねぇ。
まぁ、タイトルが理屈っぽそうだから、そこはもやっちゃうかもしれないなぁ。
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